piyopiyo diary

幸せまで五十歩百歩。

次世代スーパーコンピューティング・シンポジウム (1日目)

東京で開催された、「次世代スーパーコンピューティング・シンポジウム2006」を聴いてきました。例の「京速コンピュータ」の話です。

午前中、初めのセッションは基調講演で、「クルマの開発におけるCAEの役割と今後の可能性」。CAEってのは、Computer Aided Engineering の略で、「工業製品の設計・開発工程を支援するコンピュータシステム」のことらしいです。 パラメターを代えながらいろいろな状況でのシミュレーションを繰り返すというタイプの計算のようなので、トップレベルの「京速コンピュータ」そのものより、それに引っ張られて発展する中規模計算機の能力向上が大きく寄与するでしょう。

午前中2つ目は、文科省の方の政策講演で、「スーパーコンピューティングの国家戦略」。日本の技術立国としてのこれからを左右する、重要なプロジェクトとして位置づけられているという、いつも強調されている話。

午後は、パネルディスカッション。二つのパラレルセッションになっていて、私は初めのは「分科会A ライフサイエンス」、二つ目は「分科会C ナノ・材料」を聴きました。

まずライフサイエンスのセッション。以前に聴いたシンポジウムでは、大規模シミュレーションとのフェーズが今一つ合っていないような印象を受けたのですが、今回の話では、確かに京速コンピュータがあれば新しい何かが出来るようになるかも、という雰囲気を感じました。

ナノ・材料のセッションも非常に興味深かったです。やはりこの辺りが、京速でのグランドチャレンジの本丸なのかな。日本が技術的に世界をリードできるかどうかがかかってるので、頑張って欲しいところです。特に、パネリストの一人、三菱化学の中村氏がしきりに強調していた、企業からアカデミズムへ面白いテーマの提言を積極的にするべき、という意見が印象に残りました。企業秘密という壁を超えてそれが出来るようになれば、もっと分野の活性化につながっていくはず、とのこと。

どちらのセッションでも、マシンとしての京速コンピュータをつくるだけでは不十分で、人材育成やコミュニティの形成を通して、計算科学の息の長い活性化につなげていこうという意識の高さを感じました。

シンポジウムは明日も続きます。