piyopiyo diary

幸せまで五十歩百歩。

次世代スーパーコンピューティング・シンポジウム (2日目)

2日目午前中はパラレルセッションで、私は「分科会F 物理・天文」を聴きました。パネリストは格子QCD、素粒子実験、原子核理論、核融合、天体理論の各分野からで、モデレーターは小柳先生。格子QCD、核融合、天体理論では本当の大規模計算が不可欠、素粒子実験で必要なのはグリッド的技術、ということらしい。原子核理論はどの程度の計算機が主なターゲットなのか今ひとつ分かりませんでした。周りでされている計算では、超大規模計算が必要という訳でもなさそうなのですが、本当のところはどうなのでしょう。私が不勉強なだけかも。要求されている計算機の性質がかなり違っていて、すべてを満足するようなものは実現不可能のようです。

午後、まずは立花隆氏の講演。アメリカのスパコン開発との比較に重点が置かれていました。アメリカでのスパコンの主な目的は、核開発(DOE)と暗号解読、盗聴(NSA)、つまり国家安全保障。特に、核実験の代わりとしてのシミュレーションが大きな意味を持っているということです。一方、日本では平和目的+サイエンス。
日本のスパコン開発が、アメリカに与えたショックは大きかったそうです。特に数値風洞地球シミュレータなどのインパクトは、アメリカがスパコンの開発と利用の体制を見直すほどのものがあったようです。この点私は第二次大戦の際の、機動部隊戦術や航空機兵力のことを思い出してしまいました。革新的なことをやってるけれど、真の重要性に気づいていなかったり、徹底していなかったり....
それから、スパコンゼロ戦は同じで、トップを張れるのは、せいぜい2年くらいまで。トップに出たからといって安心せずに、持続的に開発を続けていくことが大切とのことでした。
最後のマックス・ウェーバーの言葉の引用、「最も大切な判断力は、現実との距離を正しく測定する能力である」が印象に残りました。

午後後半は、全体討議として、各パネルディスカッションの結果を踏まえて、このシンポジウムとしての提言をまとめる、というものでした。重要なポイントを押さえた提言にうまく漕ぎ着けたようで、うまくまとまったシンポジウムだったと思います。いろいろ勉強になったし、日本としてこれから計算科学をどう発展させていかなければならないかについての方向性がわかったように思います。