piyopiyo diary

幸せまで五十歩百歩。

機本伸司「神様のパズル」

角川ハルキ文庫 2006年、単行本 2001年。
今年最初に読み終わった本。でかつ、久し振りに読んだSFです。


大学4年生のゼミで素粒子理研究室を選んだ留年寸前の綿貫君は、担当教官からあることを頼まれます。それは不登校状態の天才少女、穂瑞沙羅華をゼミに参加させること。最初は軽くあしらわれたけれど、熱心にゼミを聴講する老人の切実な疑問が彼女を動かします。「宇宙は無から生まれた」と本には書いてある。無ならそこら中にあるけれど、「人間に宇宙を作ることはできるのか?」

ゼミのディベートで穂瑞沙羅華とチームを組み、宇宙を作れることを証明しなければ、卒業の危機! 重ヒッグス粒子を探すべくまもなく完成を控えた、穂瑞発案の加速器実験施設「むげん」を舞台に、ゼミは始まったけれど....

聞きなれた素粒子物理の用語が、新鮮に響きます。うん、これは呪文だ。加速器実験やコンピュータシミュレーションなどの舞台装置も、現実との距離感が絶妙。もちろん数式なんて出てこないし、素粒子物理なんか知らなくても楽しめると思います。

果して宇宙は作れるのか。そして、それを知ることにどんな意味があるのだろう。


自分がどんな気持ちで物理を理解したいと思ったのか、少しだけ思い出すことができました。2007年がこんな本で始まって、とても嬉しい。