piyopiyo diary

幸せまで五十歩百歩。

田口和裕「ブログのすべて」

ディー・アート, 2006年。

ブログとは何か、どういう仕組なのか、社会やビジネスとどう関わってゆくのか、などについての解説。ざっと一通り、ブログ界の現状を眺めるのに便利な本でした。「はじめに」で「技術書ではない」と断っているように、それぞれの事項についての解説は導入的なレベル。もう少し詳しく調べてみるための、入口にはなるでしょう。平易な言葉で最新の情報を含めてブログの全体像を解説するという、著者の目的は達していると思います。

目次は、

  • 序章 これだけは知っておこうブログ界最新トピック「7」
  • 第1章 ブログが誕生・普及した背景
  • 第2章 ブログを理解するためのIT基礎知識
  • 第3章 ブログの全貌
  • 第4章 ビジネスとしてのブログ
  • 第5章 ブログツールの導入と活用
  • 第6章 ブログを支えるIT技術

ビジネス関係の話題が多いけれど、ビジネスにおけるブログの役割というのは今ひとつピンときません。(私がビジネスに興味が無いのも理由かも...) アフィリエイト、商品のマーケティングなどはブログらしい例ですが、ブログの書籍化はやや文脈が違うような気がします。

ブログの基本構造の説明はわかりやすい。サーバが裏でデータベースと連携してページを作成するという基本構造の上に、いろいろな機能をモジュール化して乗せてゆくという構造はよく出来ていると思います。HTML や CSS の知識がなくても Web を使って情報発信が出来るということに加えて、双方向の参照によって情報のネットワークを広げてゆく仕組が備わっていることが特長のようです。トラックバックの意味がやっとわかりました。

最近興味を持っているセマンティック Web との絡みで、RSS (RDF Site Summary) は面白い仕掛けだと思いました。これは、「ウェブサイトの見出しや要約、更新日時などを記述する、XMLを使って記述されたフォーマット」で、Rich Site Summary の略ともされます。 私には RDF(*) が非常に分かりにくいのですが、実例があると違うのかな、ということも、ブログに期待していることのひとつ。まだ何も手をつけていませんが。

例のよくわからない Web 2.0 にも最後に少しだけ触れられていましたが、やっぱり具体的イメージが湧きません。ブログの発展の方向性は今ひとつ分からないけれど、Web 自体どのように発展してゆくのか、明確なイメージが分からないのだから仕方がないのかな。

入門書としてコンパクトにまとまっている本だという印象でした。ブログに不得意なことや、その限界は何か、についての考察がないことは、大きく出たタイトルからは少しだけ不満。


(*) RDF (Resource Description Framework) は、セマンティックWebにおけるメタデータ記述言語。XMLを基本にして記述される。 (これじゃ暗号を呪文に置き換えただけかも....)