piyopiyo diary

幸せまで五十歩百歩。

早坂隆「世界の日本人ジョーク集」

中公新書ラクレ, 2006。

日本人は、世界でどのように笑われているのか。ジョークのネタにされるってことは、そこに、理解にせよ誤解にせよ、典型的とされる日本人像があるということです。ハイテク国家、お金持ち、勤勉な国民性など、日本人が他の文化を持つ人々の目にどう映っているのかを、ジョークという視点から読み解いていきます。

割と典型的かな、と思う例を一つ引用。

スープに蠅が入っていたら?
ドイツ人…「このスープは熱いので十分に殺菌されている」と冷静に考え、蠅をスプーンで取り出してからスープを飲む。
フランス人…スプーンで蠅をおしつぶし、出汁をとってからスープを飲む。
中国人…問題なく蠅を食べる。
イギリス人…スプーンを置き、皮肉を言ってから店を出ていく。
ロシア人…酔っぱらっていて蠅が入っていることに気がつかない。
アメリカ人…ボーイを呼び、コックを呼び、支配人を呼び、あげくに裁判沙汰となる。
アイルランド人…取り出した蠅を片手で摘みながら、こう蠅に叫ぶ。「吐き出せ、吐き出せよ、ちくしょう!」
日本人…周りを見回し、自分だけに蠅が入っているのを確認してから、そっとボーイを呼びつける。
韓国人…蠅が入っているのは日本人のせいだと叫び、日の丸を燃やす。

それぞれの国民に対するイメージがよくわかります。実は最後の韓国人に一番笑ってしまいました。次がアメリカ人。アイルランド人のネタはよくわかりません。日本人の行動には共感できるのですが、面白いってほどでもない。

という訳で、この本に載ってるジョーク、私の笑いのツボとは少しずれていて、噴き出すほど可笑しいのはわずか。やっぱりジョークはTPOが命なのかな。ニヤッとするのはけっこうあります。著者がいろいろな国の人たちとの触れ合いを通して得た、彼らの日本人像を伝えるエピソードも織り込まれていて、そちらの方は興味深く読みました。

文化の違いは、諍いではなく可笑しみの源泉であって欲しい。笑われつつ親しまれるような日本人であって欲しいと思います。