piyopiyo diary

幸せまで五十歩百歩。

Books

菅野彰「不健全な精神だって健全な肉体に宿りたいのだ (3)」

イースト・プレス, 2007年。 何年か前に、タイトルに惹かれて買ったエッセイの第3集。不覚にも、2巻を買い逃してました。探しに行かなきゃ。著者は女性で、私と同じ年生まれ。ということに加えて、ダメさの方向性が少し似てるような気がするので、なんとなく…

日本物理学会編「宇宙を見るあたらしい目」(後編)

やっと後編。無駄に長いです。 コンピュータシミュレーションから見る宇宙 (吉田直紀)80年代以来、銀河サーベイ観測によって宇宙の大規模構造が解かってきました。背景放射の観測から、宇宙誕生38万年後の物質分布のゆらぎ(0.001%程度)がわかりますが、これ…

日本物理学会編「宇宙を見るあたらしい目」(前編)

日本評論社, 2004年。最近発展著しい、観測的宇宙論のフロンティアを概観しています。10章の、各分野の第一線の研究者による解説から構成。レベルは大学生くらい向けかと思われます。各章の内容(括弧内は執筆者): 宇宙マイクロ波背景輻射で見る宇宙 (小松英…

渡邊香春子「調理以前の料理の常識」

講談社, 2004年。料理の基本は、レシピを守ること。しかしレシピを読んでも、え、カップ一杯ってワンカップ酒のコップでいいの?なんていうレベルの人もいます(そりゃ私だけか)。そんな料理初心者が知ってないといけない基礎的なこと、覚えておけばひと味上…

大田垣晴子「キリンビール大学 ビールでいただきます!」

2007年, ソフトバンク。Web上での超人気講座「キリンビール大学」の単行本化、だそうです。キリンビール大学食学部の大田垣晴子教授による、ビールに合う食べ物のあくなき探求、レシピ付き。教授独特の「画文」はほっこりとした雰囲気で、こういう題材にぴっ…

神坂次郎 「元禄御畳奉行の日記」

中公新書, 1984。関ヶ原より百年、江戸文化の花開いた元禄時代に生きた、ある尾張藩士の日記に沿って、特に武士階級にとって、この時代はどういう時代だったのかを読み解いていきます。日記の著者は、朝日文左衛門という尾張藩百石取りの藩士で、初め城代組…

マイケルD.レモニック「ビッグバン宇宙からのこだま」

日本評論社 、2006年。3K宇宙背景放射観測衛星、WMAPの開発物語です。1964年にペンジァスとウィルソンによって発見された3K宇宙背景放射は、ビッグバン宇宙論を支持する証拠としてのみならず、宇宙論のいくつものモデルを検証するための貴重な情報を与えてく…

米原万里「真夜中の太陽」「真昼の星空」

中公文庫、2004。 ロシア語通訳、作家で、昨年(2006年)5月に亡くなられた、米原万里さんのエッセイ集。世紀の代わろうとする時期に、これまでを振り返り、今われわれのいる日本社会を再点検します。いつもの切れ味鋭い視点にスパイスの利いた小咄を絡ませな…

機本伸司「神様のパズル」

角川ハルキ文庫 2006年、単行本 2001年。 今年最初に読み終わった本。でかつ、久し振りに読んだSFです。 大学4年生のゼミで素粒子物理研究室を選んだ留年寸前の綿貫君は、担当教官からあることを頼まれます。それは不登校状態の天才少女、穂瑞沙羅華をゼミに…

素粒子の世界を拓く --湯川秀樹・朝永振一郎の人と時代

湯川・朝永生誕百年企画展委員会編集、佐藤文隆監修 (京都大学学術出版会, 2006)。二人のノーベル賞物理学者、湯川秀樹(1907.1.23-1981)と朝永振一郎(1906.3.31-1979)が生まれてから、ちょど100年になります。これを記念して様々な催しが行われていますが、…

水波誠 「昆虫 --驚異の微小脳」

中公新書、2006年。地球上で、昆虫というのは最も成功した動物と言えるそうです。すべての動物種の3分の2を占める約100万種が記載され、それでもまだ推定される種のほんの一部とのこと。この本では、文字通り陸の王者とも言えるほどの繁栄を誇る昆虫の生態…

澁澤龍彦「胡桃の中の世界」

河出文庫, 1984。昨日、9月30日は「くるみの日」だったので、「胡桃の中の世界」を読み直してみました。澁澤龍彦と言えば、私はこの作品が真っ先に頭に浮かびます。古今の文物を渉猟しながら、寄せてはかえすイメージの波と戯れるこのエッセーが、一番のお気…

和田純夫「宇宙創成から人類誕生までの自然史」

ベレ出版、2004年。我々はいかにして、そして何故、ここにいるのか。これは科学(そして哲学)が追い求める永遠のテーマでしょう。「いかにして」については、最近の科学の進展によって、かなりのことが分かってきました。まだまだ謎は数多あるとはいえ、宇宙…

早坂隆「世界の日本人ジョーク集」

中公新書ラクレ, 2006。日本人は、世界でどのように笑われているのか。ジョークのネタにされるってことは、そこに、理解にせよ誤解にせよ、典型的とされる日本人像があるということです。ハイテク国家、お金持ち、勤勉な国民性など、日本人が他の文化を持つ…

「杉浦日向子の食・道・楽」

新潮社, 2006年。昨年7月に惜しまれつつ亡くなられた現代の江戸人こと、杉浦日向子さんの、「最後のエッセイ」。食べ物とお酒に関するエッセイ集です。まず初めのあたりにある、この七箇条からして気に入りました。 正しい酒の呑み方七箇条一、酒の神様に感…

研究生活の心得

これも、古い本をひっぱり出して思い出したネタです。大学生の頃に読んだ、「数学学習案内」の中の、本田欣哉氏の「数学の学び方」という記事。この中の、研究生活へのアドヴァイスと称した節の中で、氏の説く心得が印象的でした。曰く、 まず、全体的な構想…

保阪正康「陸軍良識派の研究」

光人社NF文庫, 2005/単行本 1997。「まえがき」にある次のような言葉が、この著者の基本的なスタンスを表しています。 「人は生きる時代を選べない。大半の人は、自らが生まれた時代の理念と倫理といった規範に合わせて生きる。平時にも尊敬できる人がいる反…

田口和裕「ブログのすべて」

ディー・アート, 2006年。ブログとは何か、どういう仕組なのか、社会やビジネスとどう関わってゆくのか、などについての解説。ざっと一通り、ブログ界の現状を眺めるのに便利な本でした。「はじめに」で「技術書ではない」と断っているように、それぞれの事…